インドでの過酷な経験がキャリアの基盤に
幼少期をタイで過ごしたのですが、当時のバンコクはまだ途上国の雰囲気が濃く、幼いながらも日本との違いに気づいていました。国際協力という言葉を知ったのはもっと後になってからですが、将来は開発課題を解決できるような仕事ができたらいいなと思っていました。
アメリカの大学院を出た後はインドのNGOで勤務し、ダム建設予定地で住民移転に関する調査を行ったり、先住民の居住地で調査を実施したりしました。水や電気もない山奥に一週間滞在した経験や、インド人と一緒に暮らした経験は「世界中どこに行っても生きていける」という自信になりました。その後、他の国でも経験を積みたいと思い、アイ・シー・ネットが募集していた南アフリカのプロジェクトスタッフに応募。南アフリカで1年半、農村開発の調査に参画し、そのまま入社しました。
アイ・シー・ネットでの仕事
インドを中心としたアジア諸国での仕事、特に評価や農業関連の調査に関わっています。評価の仕事は何より受益者の声が聞こえるので面白いですね。プロジェクトが終わって一定期間が経過してから評価するので、プロジェクトの真の成果が見えますし、現地の人の生活の変容や彼らが感じたことは興味深く感じます。
2021 年にビジネスコンサルティング事業部に異動してからは、日本企業がインドに進出する際の調査も増え、現地に詳しい日本人として水先案内人の役割を担っています。長年、インドの ODA 事業で培ってきた知見が、非常に役立っていると感じています。インドの隅々まで行ったことがありますし、彼らの生活様式などを理解しているので、どんな商品が売れるか、商品がどう受け入れられるかをアドバイスしたり、政府の政策や規制も踏まえて、市場調査を行ったり、協働できそうな現地企業を提案したりしています。
未来のこと
インドに20年近く住んでいるので、物事に対する反応や考え方からしても、自分はもう半分インド人だと思っています。彼らの視点から物事を考えたり検討したりできることが、日本企業の相談を受ける上での強みなので、今後も日本企業のインド進出に活かしていきたいです。また、ODA事業の中で「ここに日本企業が入れる余地があるな」と感じることも多いので、ビジネスにつなげていきたいと思います。