TV番組制作会社での経験
新卒でTV番組制作の業界に入り、「世界ふしぎ発見」
をはじめとしたバラエティ番組、政治経済、ドラマなど様々な番組制作に携わりました。最後の10年間はチーフプロデューサーとして指揮を執り、3年間で200本以上の番組を世に出していましたが、自分が作ったものがちゃんと人に届くような仕事がしたい、人の役に立つ仕事をしたい、と思いTV番組制作業界を辞めました。49歳での決断でしたが、この業界で10年で成果を上げられるようになったのだから、他の業界でも10年頑張ればやれるはずだ、と考えたのです。
国際協力業界へ
幼いころから父親に「仕事とは社会に役立つことをするために予めその人に割り当てられている役割である」と言われていた影響があり、国際協力に携わることがしたいとは漠然と思っていました。前職で社会貢献をテーマにした番組に携わった際、彼らの仕事が社会の役に立っていると実感し、刺激を受けて、徐々に国際協力への興味が高まっていったのだと思います。
国際協力業界で働くには大学院へ行った方が良いとの知人の助言で、1年間イギリスの大学院でメディアに関して改めて理論的に学び直し、帰国後にJICAのシニア海外協力隊に参加。カンボジアの国営TV局の制作アドバイザーとして首都プノンペンに派遣されました。
一番印象に残っているのはカンボジア初のロボコンを開催したことです。当時カンボジアはスキルのあるエンジニアが少なかったので、ロボコンを通じて「スキルがあるエンジニア人材を増やすことができるのではないか」と思いました。
ロボコンに積極的に取り組んでいるタイの公共放送局から指導員を派遣してもらったり、他のシニアボランティアにも協力してもらったりして、無事に第1回目の大会を2014年に開催することができました。それ以降ロボコンは毎年開催されており、2023年8月にはカンボジアの首都プノンペンでついにアジアの国際大会が開催されました。自分が立ち上げた大会がこうして今でも続いているのは嬉しい事です。
アイ・シー・ネットでの仕事
映像制作を中心に、啓発、教材制作、広報などの業務に従事しています。具体的な作業はTV番組制作とODA事業では違うものの、プロデューサーの仕事はプロジェクト総括の仕事と似ていますし、ADの仕事は業務調整の仕事と一緒で、本質的に求められる能力は重なる部分が多いと感じます。
現在は「全世界2025年大阪・関西万博に向けた途上国の参加促進に係る情報収集・確認調査」プロジェクトで総括をしています。万博では、単独でパビリオンが作れない約100カ国が共同で展示をするのですが、その割り当てられたパビリオンで具体的に何を展示し、どう見せていくかを計画する業務です。
一見、開発コンサルタントが万博?と不思議に思われるかもしれませんが、技術協力プロジェクトも今回の万博プロジェクトも、途上国の人々のオーナーシップを尊重しつつ、彼らの希望の実現をサポートする、という点は、まさに我々が技術協力プロジェクト実施で培った強みを生かすことができると感じています。