国際協力への興味
学生時代にマザー・テレサの伝記を読んで感銘を受け、インドの「死を待つ人の家」にボランティアに行ったことが今のキャリアを目指す大きなきっかけでした。同時にボランティアの限界も痛感し、国際協力に携わるのであればボランティアではなく仕事として携わるべきだという考えに至り、開発コンサルタントを目指しました。大学卒業後は途上国で病院を建設している開発コンサルティング会社に入社したのですが、医療系の専門資格がなかったことから、キャリアアップに頭打ち感がありました。そこで思い切って専門性を切り替えようと思い、以前から興味があったビジネス分野の国家資格である中小企業診断士の資格を取得。その後、中小企業診断士の資格が活かせる中小企業振興や海外展開支援の事業を実施しているアイ・シー・ネットに転職しました。
アイ・シー・ネットでの仕事
ジェンダー分野とビジネス分野の2つを軸に、JICAの女性の経済的エンパワメントの事業や、内閣府の男女共同参画事業を担当しています。
専門の一つとなっているジェンダーですが、実は元から関心があったわけでも、大学で学んだわけでもありません。中小企業診断士のうち女性は約5%しかおらず、女性の経済的エンパワメントの事業でお声がけいただいているうちに自然と実績が重なり、今となってはジェンダーが専門性の柱となりました。ただ、私はジェンダー=女性支援という考え方ではなく、多様性を構成する人たち、例えば男性、LGBTQI+、若者、外国人なども他の人たちと同じように利益が得られるべきだと考えているので、女性に限らず、ダイバーシティを重視しています。
もう一つの専門であるビジネスの分野では、日本企業に対してコンサルティング業務を行うのみならず、診断士業務で得たコンサルティングの知見やネットワークを途上国開発の業務に活かしています。例えば、マレーシアから女性起業家が来日して研修をするというプロジェクトがあるのですが、その際に診断士だからこそアクセスできる日本の中小企業支援機関との意見交換をアレンジしたり、日本企業の事例を数多くストックできていることは、中小企業診断士の資格のおかげだと思っています。
この仕事の面白さは、なんといっても現場の近さですね。国際協力業界へ入りたい人はJICA、国連、外務省等も考えるかと思いますが、開発コンサルタントは政府からコミュニティまで幅広い現場で活躍し、最終受益者に直接関わることもできます。求められている成果の一段上を狙って、クリエイティブな業務を提案することにやりがいを感じるならば、開発コンサルタントは魅力的な仕事だと思います。
未来のこと
ジェンダー平等や女性の経済的エンパワメントの分野は、政策的にも社会的にも追い風のテーマなので、これらの分野に関する経験を着実に重ねていきたいです。国際機関や海外政府の事業も積極的に狙っており、日本政府の開発事業だけでなく、グローバル市場で戦える開発コンサルタントを目指しています。
また、中小企業診断士として、会社や業界の働き方改革や意識改善(アンコンシャス・バイアス)に取り組み、多様な人々が働きやすい環境づくりを進めたいです。
ジェンダー分野もビジネス分野も変化が非常に速い分野で、リスキリングを怠るとすぐ最前線から転げ落ちてしまいます。社会の変化と共に専門性も磨き、未来を引っ張れる開発コンサルタントでありたいです。