途上国で働くことの楽しさ
父親が農業系の研究者だったことが影響し、大学と大学院で農業機械を研究していたのですが、1年間ケニアのナイロビ大学農学部で研究する機会がありました。基礎研究が多い日本に対して、ケニアでは実際の農作業で必要とされている技術や機材を開発することに重きが置かれていました。研究が直接農業生産現場の発展につながっていくのが面白く、帰国するころには、またケニアに戻ってこようと思いました。現地の人々の明るさや素朴な感じに魅せられたことも大きいですね。その頃、社会課題を解決したいという大それた強い意識は全くなく、アフリカで仕事することが楽しそうだな、と単純に思い、途上国と関わるキャリアへ進むことになりました。
アイ・シー・ネットでの仕事
前職までは自分の専門性を磨くことを重視していました。アイ・シー・ネットに入社してコンサルタントは売上を上げることが必要で、そのためには自分の専門分野だけではなく、いろんなプロジェクトに対応できる知恵と術が必要であると気づきました。当時、先輩から「カメレオンになれ」と激励されました。それは、自分の専門性を本来の色としつつも、プロジェクトに合わせて色を変化させるカメレオンのような対応力をつけなければならないということです。色を変えるために様々な研修を受け、少しでも対応できそうな案件に積極的に応札してきました。これまで関わったプロジェクトは自分の専門にこだわらず、営農・農業普及・農業一般・流通・マーケティング・零細小企業・コミュニティ開発・農村開発など多岐にわたります。ただ、気がついたら専門である農業機械やコメの収穫後処理技術についてもクライアントから声をかけていただくことが多く、結局自分の専門を生かせるプロジェクトにも関われているのでありがたいなと思います。
農業分野のプロジェクトは稲作、野菜、畜産、農産加工などサブセクターが数多くあり、それぞれに専門性が必要なため1社だけで対応することが難しいことがあります。そんなときは、他社に声をかけて一緒に実施したり、逆に他社から一緒にやろうと声をかけられたりすることもあます。日ごろから他社との社外での緩やかな付き合いを維持しており、その関係性で仕事に繋がることがあります。
未来のこと
これまで経験してきた分野に加えて、最近求められている農産物流通やフードバリューチェーンへの対応力を高めていき、長く農業プロジェクトに携わっていけたらいいなと思っています。自分はODA事業に育てられてきました。これからもこのODA業界に関われたらと思っています。